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Selecting strong Brønsted acid zeolites through screening from a database of hypothetical frameworks

どんなもの

ゼオライトの仮想構造は大量に提案されているが、実現しうる構造・有用な構造の選別は非常に困難である。安定性を見ることが最も想像しやすい手段ではあるが、不安定なビルディングユニットやチャンネルをもつゼオライトや、無理な組成をもつゼオライトの存在が、その議論が容易でないことを示してくれる。 また、実在するゼオライトと仮想構造の一部はエネルギー的に大きな差がないことも知られており、accessibility に問題がある可能性がある。そこで新たな合成戦略が登場してきている近年では、安定な構造やその他の特徴量を加味したスクリーニングを通過した構造の合成が容易になるのではないだろうか。
本論文では、安定性・結合角・T 原子密度などの観点から可能性のある構造を得た。さらに、酸素原子を一つ挟んだ T-T 距離(下図)が酸強度と弱いながらに十分な相関を見せることを明らかにした。

先行研究と比べて

力場を2種類(BS, SLC)用いた丁寧な安定性の議論や、結合角など骨格の特徴を吟味したスクリーニングによるより妥当な仮想構造のスクリーニングを行っている。
さらに、Bronsted酸に限定しているとはいえ、酸強度を議論する上で重要な特徴量の提案とその検証までを行った。

技術や手法のキモ

過去の論文で開発した、リングのサイズおよびその数を測定し、特徴量として用いた。また、力場を2種類(BS, SLC)使用し、その違いをそれぞれの性質から説明している。また、酸強度を予測するべく経験的に重要と考えられる特徴量の開発・適用しその有効性を明らかにした。

どうやって有効だと検証した

- 力場の検証

SLCはゼオライト骨格構造の計算について最も信頼のある力場であるが、エネルギーの算出については一様な誤差があると言われている。一方、BSはこの誤差を克服するピュアシリカに特化した力場である。
結果として、SLCはBSよりも低いエネルギーを返すことがわかった (下図 右)。これは、BSの中でSLCが考慮していない結合角が曲がる際の寄与を考慮しているためであると考察されている。

- 特徴量と酸強度

先に紹介した T-T 距離と酸強度を比較した。酸強度は、アンモニアの脱着エネルギーを使っている。(この算出には、NH4+ の項があるため、水素化の寄与が常に含まれてしまっている。)
酸触媒として用いられるMFI (青菱形)、 BEA (紫三角)、および FAU (●)を比較としてプロットした。スクリーニングによって得られた構造は 赤逆三角 でプロット。\

結果的に、弱いながらに十分な相関を見せた。ゆえに、T-O-T もスクリーニングに有用と推察され、今回のスクリーニングに入っている。

議論はあるか

これらの構造は、実際に合成できるか?
ルイス酸点への適用可能性は十分か?
安定性について、熱力学的環境の考慮はなくて良いのか?